住宅ローンは誰でも好きなだけ借りられるものではありません。
契約者の年収から限度額を計算して決めるのが一般的ですが、年収だけですべて決めるのは危険です。
今回は注意点も交えながら年収で見る借入額の目安、返済額について解説します。
年収で見る借入額の目安
例えば年収400万円の人だと、限度額目いっぱい借りると決めたら4000万円も借りることができてしまいます。
それだけ借りることができれば、家も土地ももっと大きいものにできる、と借りてしまう人もいますが、限度額いっぱい借りることはやめておきましょう。
なぜかというと、年収全てを住宅ローン返済に使えるわけではありませんよね。
食費や日用品・光熱費など、住宅ローン以外にも生きていく上で必要になるお金はたくさんあります。
それ以外にも、子どもがいれば教育費もかかりますし、親が病気になれば入院費も援助することになるかもしれません。
介護が必要になれば、介護費用もかかることになるでしょう。
親だけでなく、自分や家族が病気になったときや介護が必要になったとき、元気で過ごせても子どもの将来のために教育費以外にも結婚費用や、老後の生活費も貯めておきたいものですね。
住宅ローンの返済費用以外にもかかるお金があるので、限度額いっぱい借りてしまうと健康的な生活を送ること自体が危なくなってしまうということがわかります。
どのくらいが自分たちに適しているか、悩んだときには「返済比率」を確認してみましょう。
返済比率とは?
実はこの返済比率、金融機関でも重要視しています。
だいたい返済比率を30~35%になるように借入金額を提示しているところが多いんですよ。
この35%で計算すると、最初に書いた借入限度額が年収400万円の人で約4000万円という結果になります。
でもよくよく計算してみると、4000万円も借りたら月々11万円も住宅ローンの返済にあてることになるんです。
年収400万円の人の適正家賃はだいたい8万円前後と言われているのを知っていますか?
これは年収の25%が適正家賃と言われているからです。
適正家賃から3万円もオーバーしているので、限度額いっぱい借りることが適正じゃないなとわかりますね。
というわけで、限度額いっぱい借りると生活が苦しくなる可能性が高くなります。
無理なく返済するためには、一般的には年収の5~6倍までが、住宅ローンの借入金額に適していると思ってくださいね。
年収400万円の方ならば、2000~2400万円くらいが家計を圧迫しすぎずに無理なく返済できる金額というわけです。
毎月の返済額から考える
住宅ローンの借入額は、年収だけで全て決めるのは危険です。
もちろん借入額を決める目安として、年収から計算するのは必要なことと言えます。
ただし、年収はあくまでも1年間の収入であって、月々の収入ではありません。
どういうことかというと…AさんもBさんも同じ年収400万だとしますね。
Aさんは毎月30万の給料でボーナスは1回20万円が年に2回あると思ってください。
Bさんはボーナスなし。しかし毎月の給料が36万円ちょっとあります。
こうして比べてみると、同じ年収でも月々の収入に6万円もの差があるのです。
6万円も変われば、月々の住宅ローン返済にあてられる金額も変わってくるのはわかりますよね。
これはあくまで例としてわかりやすく出したものなので、税金や保険の加入の有無などでも変わると思ってください。
要するに、年収だけで住宅ローンの借入金額を決めるのは、危険というわけです。
人それぞれボーナスがあるのか、税金がどのくらいかかるかも変わりますし家族構成も違います。
子どもがいるかいないか、1人か2人か3人かでも住宅ローンに充てられる金額は変わりますよ。
ボーナスがあってもボーナス払いを住宅ローンに適用したくないと考える人もいますし、使いたいと思っている人もいますよね。
ボーナス払いを使えばもちろん借入金額も上がりというわけですし、使わなければ少なくなるものです。
将来ボーナスが減額されたり、最悪の場合なくなったりする可能性もあります。
こうなると年収が減ってしまい、住宅ローンに充てるお金も減ってしまうかもしれません。
さらに現在夫婦のみである方は、将来子どもが増える可能性もありますよね。
子どもはいらないという方も、もしかしたら親と同居する可能性もでてくるかもしれません。
今と同じ生活をずっと変わらずにできる、という保証は全くありません。
家族が増えたりして生活が変われば、月々の出費についても変わることとなりますね。
将来のこともよく考えて、月々の住宅ローン返済に使えるお金についてもよく考えておきましょう。
これらのことから年収だけで借入金額を判断せずに、月々どのくらいの金額を住宅ローンの返済に充てることができるか。
そこから借入金額を決めることも必要だとわかります。
住宅ローンの契約前には、年収だけでなく月々の収入のうちどのくらいの金額を返済に回すことができるか、そこまで考えてみてください。